IPv6サミット2006が11月21日に秋葉原コンベンションホールにて開催されました。このサミットの実行委員長を務めた北口善明(株式会社インテック・ネットコア)と荒野の対談を通して、サミットを振り返ります。サミット運営裏話や、第一回IPv6サミットの昔話も飛び出し、和やかな対談となりました。
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IPv6サミット実行委員長、お疲れ様でした! |
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ありがとうございます。なんとか無事に終わってほっとしています。 |
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あの時は、直後に海外出張が入ったり、別のセミナー出展があったりとスケジュール的にとても厳しかったと思いますが、まぁ何はともあれ、無事に任務を終了できてよかったですね。 |
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そうですね。本当に大変でした(笑)。
今年は会場を、前回までの横浜から秋葉原に移しましたし、初めて無料イベントとして開催しましたので、その分なおさらでした。 |
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そこまでは予想通りというか、今までとそんなに変わりませんね。他にはどのような方が来場されたのでしょう? |
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他は、商社や交通・エネルギー、公共団体の方がそれぞれ全体の3%前後でした。IT業界の方々以外の割合が圧倒的に低くなってしまいました。 |
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IT業界以外の方にも関心を持っていただけるよう努力が必要ですね。 |

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最初のセッションでは、橋本代議士にご登場いただきましたが、一般の方々からすると、ええっ。どんな関係が。と思われたのではないですか? |
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そうですね。実は、橋本代議士は昨年まで三菱総合研究所にいらっしゃって、IPv6普及・高度化推進委員会の事務局もされていたのです。その後、2005年8月の郵政解散を受けて実施された9月の衆議院総選挙で当選されて、今に至るという訳です。 |
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あの新人旋風が起きたときの選挙ですね。 |
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そうです、あの83会の一人で、若手のホープです。
IPv6のことも分かって政府の動きも分かる人はそうそういないですから。というわけで、白羽の矢を立てました。タイトルも「IT新改革戦略とIPv6」として、政策面からIPv6について話して頂きました。
IT新改革戦略では、政府・各省庁の情報機器の更新に合わせて、政府のネットワークを2008年までにIPv6対応させることになっていますが、橋本代議士によると、政府内でのIPv6に対する認知度はそう高くなく、即ち技術的な課題に対する関心度は低いと言うことでした。このような点をお聞きして思ったのは、政策面からの支援を図るためには、利用者の立場に立った、具体的なアプリケーションやソリューションを明確にし、IPv6を使うことのメリットを示すことが重要だということです。
参加者からのアンケートでは、IPv6に関する具体的な推進政策の話をもっと聞きたかったとの意見がありました。 |
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なるほど。政府の取り組みは、IPv6の導入モチベーションの一つであり、IPv6の普及には欠かせない要素ですから、せっかくの普及の機会をうまく利用していきたいですね。橋本代議士のような若い人が政治のほうでグイグイ引っ張ってくれるといいですね。とても期待しています。 |

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「IPv4アドレス枯渇を乗り越えるために」と題して実施したパネルディスカッションでは、複数のキャリアやISPの方々を招き、数年後に訪れるIPv4アドレス枯渇への対応状況や抱える課題について議論して頂きました。チェアを務めて頂いた前村昌紀氏(日本ネットワークインフォメーションセンター理事)から、今年4月にまとめた「IPv4アドレス枯渇に向けた提言」にて予測されている枯渇の時期が提示され、IPv4アドレスの消費が近年増加傾向にあり、今後訪れるインターネットの利用形態が解説されました。これを受け、各ネットワーク事業者から自社におけるIPv6対応状況が紹介されました。 |
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各キャリアが一同に介して、それぞれのIPv6対応状況について語られるというのはサミットならではですよね。それぞれにどのような違いがあるのでしょうか。 |
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NTTコミュニケーションズやIIJでは積極的な対応を進めてきており、ネットワークのデュアルスタック化がほぼ出来上がっているとのことでした。一方KDDIでは法人向けにIPv6サービスを展開しているが規模はまだ大きくなく、ソフトバンクBBにおいてはトライアルに留まっている状況でした。各ネットワーク事業者において、IPv6対応化は情報機器のリプレイスのタイミングで確実に進めて来ていますが、機器のコスト以上に人材を教育する費用や運用ツールの対応コストなどをどのように工面するかが大きな課題であるようです。興味深い一言として、「NTTさんとKDDIさんがIPv6対応となればこちらも動きやすくなる」という印南鉄也氏(ソフトバンクBB)の発言があり、3強の凌ぎ合いを垣間見た気がします。 |
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ISPにとってIPv4アドレス枯渇は深刻な問題ですからね。しかもそれがそう遠くない未来である確率が高い。なくなってからでは遅いわけですから、2007年度中にはいよいよ、という感じで動きが出てくると思っています。
今回、Windows Vistaは大きなテーマの一つだと思いますが、Vistaについてのセッションはいかがでしたか? |


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さて、午後のプログラムでは、セッションを技術寄りと政策寄りの二つに分けて行いましたが、北口さんが参加したのは技術セッションですね。まず、北口さんがチェアを勤めたセッションは、どんな様子でしたか? |
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ありがたいことに満席の会場となりましたが、始まる前にその会場を見て緊張していました。パネリストの皆さんに助けていただいて、なんとかチェアを務めることができました。
パネルディスカッションでは、IPv4と比較して膨大な数のアドレスが利用できるというIPv6のアドバンテージを生かした技術として、IPv6マルチプレフィックスを取り上げました。4名のパネリストの方々に「マルチプレフィックス技術による可能性」というテーマで、IPv6マルチプレフィックスの活用事例や現状の課題に関して話して頂きました。
IPv6マルチプレフィックスでは、アドレスプレフィックスとサービスを結びつけることで、サービスへの参加者をグルーピングできるというメリットがあります。本セッションでは、活用・応用事例にて可能になるネットワーク形態を示すことができ、また、そのために必要な標準化などの課題をまとめました。会場からは、「最終的な形には期待できるものがあるが、現在の課題を検討しているレベルと大きく隔たりがあるのでは?」とのご意見も頂きましたが、IPv6マルチプレフィックスは、現状においても有効に機能する場面もあり、IPv6ソリューションの1つとして大きな今後期待を持っています。 |
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マルチプレフィックスについては、制御技術をネットコアでも研究開発していますし、IPv6の大きな特長の一つですので、有効に活用できるように考えていく必要がありますね。 |

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技術セッションの次のプログラムは、「LANや端末でIPv6を利用するための問題と検討」でした。現在の日本は、世界的に見て最もIPv6が普及しており、IPv6によるネットワークサービスが広く展開されています。また、Windows Vistaの登場というインパクトを受けて、IPv6対応端末がネットワーク内に増えてくるのは時間の問題でもあります。そこで、このテーマは外せないだろうということで、技術セッションのトリに持ってきました。 |
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なかなか絞るのが難しいですけれども。話題の1つとしてIPv6通信が可能になる自動トンネル機能の話があり、管理者が意図しない経路としてエンドユーザの端末にIPv6アドレスが付与されてしまう危険性が指摘されていたのが印象に残りました。このような課題は、理解して運用する場合には脅威にはならないのですが、IPv6対応をまだ先だと考えているネットワーク管理者の方々にとっては理解しておくべき重要な課題です。 |
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そのとおりですね。意識的にIPv6を設定して使用する場合と、意図せずいつのまにか使う場合とでは注意すべき点も異なります。もちろんIPv6の場合、一般ユーザにとっては”いつのまにかそうなっていた”のが本来あるべき姿なので、そうあるべく課題を克服していかなければなりません。 |
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ところで、今回、北口さんはIPv6サミット実行委員長という、言わば裏方代表を務められたわけですが、まずは運営上の反省点などあれば聞かせてください。 |
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そうですね。反省点としては、講演者の方々の熱弁により、時間が押し気味になってしまい、なかなか時間通りにプログラムを遂行できなかった、ということがありました。来場者・関係者の方々にはご迷惑をおかけしました。 |
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そうですね。先ほども言いましたように、今回は無料イベントとしたため、スポンサー獲得が大きな命題で非常に重要だったのですが、なかなか集まらず苦労しました。
それから、実は私は代打の実行委員長だったんです。開催直前まで及川卓也氏(元マイクロソフト株式会社、現グーグル株式会社)が実行委員長を務めておられ、ほとんどのお膳立ては既に整っていたわけです。ですから、今回なんとか運営できたのも、及川さんをはじめとした関係者の皆さんによるバックアップのおかげです。この場で感謝の意を表したいと思います。 |
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実は私も北口さんと同じく、2000年の第1回IPv6サミットで、実行委員長を務めたんです。2000年と言えば、森首相(当時)が施政方針演説でIPv6を取り上げた年であり、サミットではSONY出井会長(当時)にご講演いただいたりとIPv6について大いなる夢を語った時期でした。しかし今回は、講演もパネルディスカッションも具体的にどうやって進めていくかという内容になって、ずいぶん現実感が増してきました。しかも、私の世代の人ではなく、若い皆さんが中心になって動かしている。なんとかここまでやってこれたと思うと、感慨深いものがあります。こういったイベントの開催は、IPv6普及のためには欠かせないものです。これからも、IPv6を皆で盛り上げていきたいですね。 |
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| 1997年、新潟大学自然科学研究科修了後、株式会社インテックに入社、2000年にインテック・ウェブ・アンド・ゲノム・インフォマティクス株式に転籍。一貫してネットワークの運用、IPv6研究開発に従事する。2000年7月から2004年まで、通信・放送機構(現 独立行政法人情報通信研究機構)の研究員として、ネットワーク時刻同期と計測技術の研究に従事する。2005年、電気通信大学より博士号を取得。2006年より株式会社インテック・ネットコアにてIPv6研究開発ならびにソリューション開発に従事。博士(工学)。電子情報通信学会、情報処理学会各会員。 |
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| 荒野高志/1986年、東京大学理学部情報科学修士課程終了後、国内大手通信会社に入社。国内最大級ISPのネットワーク設計、構築、運用を担当。その後、日本および世界のIPアドレス管理ポリシー策定のため、JPNIC-IP WG主査や、99年より国際的なインターネットガバナンス組織であるICANN ASO 副議長を務める。2002年、インテックネットコア設立時に専務就任、現在、代表取締役社長。(財)インターネット協会Y2KCC/JP代表としてインターネットY2K問題対応に取組んだ。最近では社内外で次世代ネットワークプロトコルであるIPv6の実現・普及啓蒙活動に従事しており現在IPv6 Forumのボードメンバ、(財)インターネット協会IPv6デプロイメント委員会議長などを務める。 |
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IPv6サミット>
IPv6サミットは、2000年に開催されたGlobal IPv6 Summit in Japanから数えて今回の開催で6回目を迎える、IPv6の普及促進を目的とするシンポジウムである。今年は、2006年11月21日に秋葉原コンベンションホールにて開催された。
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