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IPv6ご意見番


IPv6とリモートメンテナンスとユビキタス


 今回は、コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 営業本部商品企画部 ソリューショングループ長 高嶋様との対談をお送りします。
 インテック・ネットコアは、コニカミノルタ、インテック・ソリューション・パワーの3社で、総務省提唱によるIPv6環境下におけるデジタル複合機のリモートメンテナンスサービス実証実験を実施しました(※)。対談では、実証実験の話を皮切りにIPv6、ユビキタスネットワークにおける認証技術について語っていただきました。
(※)実証実験のニュースリリースについてはこちら


高嶋さん紹介

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荒野 今回のご意見番は、コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社(以下、KMBT社) 営業本部商品企画部の高嶋ソリューショングループ長に、ご登場いただくことになりました。高嶋さんよろしくお願いします。
高嶋 よろしくお願いします。
荒野 早速お聞きしますが、高嶋さんは、どのような商品企画を担当されているのですか?
高嶋 私は、第一商品企画部のソリューショングループに所属しています。ここでは、アプリケーションですとか、ネットワークプラットフォームを担当しています。具体的には、MFP(Multi Function Peripheral ; 複合機)やプリンタが、お客さま先に置かれたときに、外部からMFPにアクセスしてメンテナンスを行ったり、MFPからその環境に対してアラームをあげたりするアプリケーションや、あるいは、スタンドアローンで動作するアプリケーションを提供する仕組みの企画担当をしています。

IPv6とリモートメンテナンス

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荒野 まず、先日プレスリリースを出していただいた通り、一緒にリモートメンテナンスに関して実験をさせていただきました。
もともと、私達はIPv6をやっていくにあたり、将来的にはいろいろな応用がIPv6の中に広がるだろうと思っています。
たとえば、モノがつながるときには、そのモノは管理されたうえでつながる必要があり、それをIPレベルで実現できるのはIPv4ではダメでIPv6でないとできないんです。その管理の入口として、ネットワークを使って遠隔のものを管理するための情報を集めて、その情報を元にリモートメンテナンスをするというのは、非常にベーシックなニーズとして面白いと、以前から思っていました。
そんな中でKMBT社さんと意見交換させていただき、リモートメンテナンスをテーマとしてこの実証実験を一緒に行うことを決めたという背景があります。まずこの辺からお聞かせ願えればと思います。
KMBT社さんにおいて、リモートメンテナンスや、その応用で取組まれていることについて教えてください。

高嶋 まず、リモートの接続方法についてですが、様々な環境でつながるようになっています。従来は、モデムやFAXなどを利用していましたが、最近では、eメールやHTTPを使っています。その延長線上で、次はIPv6やSIP(Session Initiation Protocol)を使ったアプリケーションを考えていて、今回の実証実験はちょうどいいタイミングで出来たと感じています。
たとえばHTTPやeメールで外部に情報を投げようとすると、ファイアーウォールを通させて頂けるようにセキュリティポリシーを修正して頂く必要があります。お客さま相手の会社の立場上、これは簡単な話ではありません。そういった中でも、セキュアにEnd to Endでつながるのは、アピールできるポイントと考えています。
荒野 電話回線を使ったサービスは以前から進められていたのですね。その中で、何か課題などあったのでしょうか?
高嶋 例えば、電話回線の場合は、送信できるデータの容量があまり大きくないので、できる範囲というのは限られていました。また、メールですと本当の意味でのリアルタイムではないところが課題と認識しています。
荒野 なるほど、IPv6になれば、容量の大きいものを送れて、かつリアルタイムになると期待されているのですね。
高嶋 はい、さらに素性の知れている相手に対してきちんと接続できるところが、非常に良い技術と考え、実験に参加させて頂きました。

荒野 メンテナンス事業として、具体的なイメージをお持ちでしょうか?
高嶋 まだ実現できるか確証はないですが、複合機を操作する上で、困っているユーザがいる場合や、あるいは故障したときに、そのままセンター側に繋がってユーザのサポートをできると良いと思います。具体的には、遠隔からでも複合機の状態を把握し、ファームウェアのアップデートができると、トラブル時にでもスムーズに対応できると思います。ファームウェアは、データの容量が大きいので、ある程度高速なネットワーク環境が必要となります。
荒野 最近の複合機やプリンタは、多機能化が進んでいるせいか、操作を迷われるお客さまもいらっしゃるのではないでしょうか?
高嶋

そうですね、そういった場合、動画を使ったヘルプを、複合機やプリンタパネルで表示することで、ユーザをサポートすること事ができます。

荒野 それは、ネットワークが繋がっている状態ですと常にそのコンテンツアップロードができる環境にあるので、ヒット率など考えながらユーザが困っているところをピンポイントで探しあてて、それに対する支援ができるということでしょうか?その情報があると、将来的にはいろいろ事が実現しそうですね。
高嶋 まだ実現はできていませんが、その通りです。将来的にいろいろと夢はありますね。
今回の実証実験で使うマルチプレフィックス環境を、検証させていただくことにより、いろいろな可能性が広がると思っています。当社のサービスでユーザに対して論理的に区切られたネットワークが使えることで、ダイレクトにユーザに対し語りかけることができるのではないかと思っています。
荒野 技術的に環境が整った仕組みがあると、その上の機能も、また新しいものがどんどん考えられていくんですよね。このサイクルに入ると製品開発の人は楽しいですよね?
高嶋 えぇ、そうですね(笑)。
 
IPv6ご意見番バックナンバー
Vol.1 IPv6をビジネスに生かすために ~東京大学 江崎教授を迎えて~
Vol.2 ビジネスのスタート地点に立つIPv6
Vol.3 イノベーションを巻き起こせ ~マイクロソフト 及川氏を迎えて~
Vol.4 新市場を創るマーケティング術 ~パナソニック コミュニケーションズ株式会社 小林氏を迎えて~(前編)
Vol.5 新市場を創るマーケティング術 ~パナソニック コミュニケーションズ株式会社 小林氏を迎えて~(後編)
Vol.6 IPv6サミット2006実行委員長に聞く
Vol.7 IPv6サミット2006レポート 展示ブース編
Vol.8 IPv4アドレス在庫の枯渇近づく! ~JPNIC前村氏をお迎えして~
Vol.9 IPv6とリモートメンテナンスとユビキタス

ゲストプロフィール
高嶋生也(たかしま いくや)
1987年、東京理科大学理学部卒業。同年4月、ミノルタカメラ株式会社入社、情報機器部門にて複合機エンジン開発に従事。1991年、同海外法人ミノルタフランスに移り、技術サポート・業務システム開発に従事。1997年に帰国後、技術サポート部、CRM統括部にて、オープン系システム開発に従事。2003年、コニカミノルタ統合を機に、商品企画部にて、複合機のプラットフォーム及びソフトウェアの構想・企画業務を担当し、顧客業務フロー最適化ソリューションの事業化を推進中。最近では、複合機機能のWeb Service化、IPv6を使ったリモートサービスの提供を手掛けている。

荒野高志プロフィール
荒野高志/1986年、東京大学理学部情報科学修士課程終了後、国内大手通信会社に入社。国内最大級ISPのネットワーク設計、構築、運用を担当。その後、日本および世界のIPアドレス管理ポリシー策定のため、JPNIC-IP WG主査や、99年より国際的なインターネットガバナンス組織であるICANN ASO 副議長を務める。2002年、インテックネットコア設立時に専務就任、現在、代表取締役社長。(財)インターネット協会Y2KCC/JP代表としてインターネットY2K問題対応に取組んだ。最近では社内外で次世代ネットワークプロトコルであるIPv6の実現・普及啓蒙活動に従事しており現在IPv6 Forumのボードメンバ、(財)インターネット協会IPv6デプロイメント委員会議長などを務める。

IPv6マルチプレフィックスおよびSIPへの期待

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荒野 実証実験では、特にどの辺りが興味深いですか?
高嶋 そうですね。特にマルチプレフィックス、マルチレイヤーセキュリティモデルを実際に使ってみたいと思っています。
マルチプレフィックスは、論理的にそのネットワークを分けることができるというところが興味深いです。関連して、ICカードを利用したオフィスセキュリティの標準化を検討する団体であるSSFC(Shared Security Formats Cooperation)であがっているのが、今その人がいるセキュリティレベルを管理できるような仕組みで、これらをうまく組み合わせると論理的にかつ物理的にセキュリティを管理できるのではないかと考えています。
荒野 具体的には、社員の役職や権限、社員と外来者の区別ができるということですか?
高嶋 マルチプレフィックス、マルチレイヤーセキュリティでは、人やグループにセキュリティレベルを付与して、その人がどこでログインしても、その人がアクセスできる情報を決めることができるしくみですよね。それに加えて、SSFCでは、その人はここまでアクセスできるのだけど、ある情報は、そこの部屋でしか見せない設計にしておき、そこに行って情報を使わせるというセキュリティレベルを定義できます。
荒野 では、新しいネットワークインフラであるIPv6やSIPを使ったネットワークインフラについて、活用イメージなどお持ちですか?
高嶋 利用する立場から言いますと、SIPとIPv6は結構相性がいいのかと思っていまして、NGNは、それと同じようなものかなと捉えています。ピアツーピアできっちりと繋ぐ為の技術と理解しています。
それが実現されると、MFPとパソコンを、あるいは他のオフィス機器とダイレクトにつないだりして、権限なども整理しやすくなると思っています。
それがドライバなどを必要とせずに実現できれば便利だと思いますね。
技術的には、もうちょっと上のレイヤーなのかもしれないですけど。そのように考えていくと、あまりMFPの開発者としては苦労なく自分のデバイスを作っていくことができると期待しています。
荒野 確かに最近のPCでは、さすとつながるプラグアンドプレイが、実現されていますね。今ネットワークレベルで、UPnP(Universal Plug and Play)みたいな考え方なども出てきているのですが、実際の連携というところまでは行っていないので、今後、低いレイヤーでもそういう考え方が必要なのかもしれませんね。
   

ユビキタスネットワークにおけるビジネス戦略

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荒野 では、もう少し広い視野で見たとき、ユビキタスネットワークにおけるプリンタ供給の戦略やお考えなどありますか?
高嶋 そうですね、基本的にプリンタの場合は筐体自体が大きなものですから、その場所に固定されて常設されているということですので、ユキビタスの概念においては、ユーザがどこに行っても使えると言うことを考えています。
そう考えると、とりあえずいろいろなところに、プリンタがないと始まりません。
当社の商品だけでそれが達成できますか?というと多分それは無理なので、いろんなメーカーさんと仕様を合わせながら、どこにいっても、どこかのメーカーの機器が使えるということをまた考えていかなければいけないと思います。関連団体でもそういった、共通仕様策定に向けての動きはありますね。
荒野 なるほど。どこにでも誰でも使えるプリンタがあるということですね。
高嶋 ユビキタスの実現には、そういった共通仕様策定を、業界としてもっと加速させる必要があると考えています。例えば、空港ラウンジなどで、携帯電話端末からExcelファイルを、Bluetoothを使ってプリントすることもできます。それがメーカー問わずどこでも出来たら便利になると思います。
荒野 最近面白いと感じているのは、異なる複数の業界が連携というか融合していくんじゃないか、ということなんです。昔、モノから情報を取れるようになると、その情報は他のモノにも役立つかも知れない、という仮説を立てていたのですが、最近、業界連携という形で、それが実現しつつあるのではないかと思っています。たとえば、Wii Fitは健康器具、もしくはトレーニングマシンであるのと同時に、ゲーム機でもある。他にも、iPodや携帯電話とNikeスニーカーの連携なんかが出てきていますよね。これはとても面白いと感じています。

高嶋 プリンタ業界においても、情報を紙に出力することだけを考えるのではなく、近い将来は、こういった新しいことを実現できるということを訴求していくことになるかもしれませんね。
荒野 あと、ユビキタス関連では、RFID(Radio Frequency Identification)を使った認証については、どのようにお考えですか?
高嶋 重要と考えているのは、生体認証とどうやって繋いでいこうかということですね。いまのICカードは、所有者認証であって必ずしも本人認証でない場合があります。やはり厳密な本人認証が必要になってくると思います。用途に応じて、静脈、指紋、虹彩などの生体認証方式を使い分けると良いですね。
さらに、ユビキタスIDなどを使って、様々なモノにIDをつけて、データベースを参照しながらその人がいる環境や状態がわかると、もっと面白いことができるのではないかと思っています。
   

数年後のビジョン

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高嶋 今までの話の続きになるかも知れませんが、政府などで使われているIPv6とカード認証対応なんかは、準備しております。まだ、ぼんやりとですがいろいろ企画検討しています。
荒野 そのような認証基盤が出来あがっていくときに、IPv4だとアドレスが足りなくなってきて、継接ぎのネットワーク基盤になってしまいます。とりあえずIPv4で構築しようとすると途中にプライベートアドレスが入ったり、NAT(Network Address Translation)を使ったりすることになります。そうなると、End to Endで、きちんと素性を担保する仕組みはなくなってしまう可能性があります。
高嶋 そうなんですよね。
荒野 最近のIPv6の日本の動きで言いますと、先日、総務省から、あと3年でIPv4アドレスがなくなる可能性がある。それに備え2010年くらいまでに、ISP、データーセンターなどは、IPv4アドレスだけでなく、IPv6も対応できるようにして欲しいという内容の答申案を出しています。この案の結論は、論理的に枯渇に対応する方法を検討して、IPv6を使うしかないというものです。これは、おそらく日本だけでなく他の国でも同じ答えになるはずだと思います。そう考えると、このタイミングはビジネスチャンスですので、今から2、3年の間にIPv6の面白いソリューションを用意しておくと、グローバルなネットワークにおいて、そのソリューションを実現できるかもしれないのです。特にデバイス系のモノとソリューションというのは、今が種を植える時期なのではないかと感じています。
   

さいごに

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荒野 そういった意味で、何年後かに会社または個人として、何か目標などはありますか?
高嶋 そうですね、会社としての目標という意味では10年、20年後には今のビジネスのやり方を大きく変えていかないといけないと考えていて、今はちょうど具体的に考えなければいけない時期にさしかかっているのではないかと思っています。イメージとしては、ハコを売るだけのビジネスではなくて何らかのソリューションやサービスも併せて売っていく形になる必要があると思います。具体的には、パソコンとの連携に向けて全力で進めていかなければいけないですし、個人的にも、そこで一番適応できる人材になっていたいと考えています。ですから、今回の対談のような機会や、外部の方々のお話を色々お聞きしまして、敏感になっていかなければいけないと実感しています。
荒野 なるほど、製造業においてもソリューションやサービスで、付加価値をあげていく必要があると考えているわけですね。
高嶋 はい。そうです。
荒野 高嶋さんがおっしゃられるように、アンテナを広げられてソリューションのコンセプト作りなどに役立てていくことは大事ですよね。
高嶋 今個人的に危機感を持っているのは、ハードウェア上で使われるソフトウェアの開発は海外に出していることが多いため、日本の技術力が下がってしまうのではないかということです。特に若い方は、積極的に世界に出て行って、もしくは世界と対等に立って、コミュニケーション能力や技術力を向上させていって欲しいと思います。グローバルなセンスを持った上で付加価値が上がるようなモノを作れるよう、常に自身を磨いていかないといけませんね。これは自分自身にも言っているんですけど。
荒野 全くおっしゃるとおりですね。
そんなとき、やはり一人でできることは限られていますから、連携ということが大切だと思います。今後ともぜひ、コニカミノルタさんやインテックグループは業界を越えて連携させていただきたいと思っています。
本日は、ありがとうございました。