IPv6をビジネスに活用する、企業ネットワークをIPv6に移行する、そんなあなたのためのIPv6情報サイト【ビジネスonV6】

技術講座

技術講座は、入門編・実践編の二つに分けた連載でお送りします。
入門編では関連技術のご紹介、そして実践編では具体的な活用事例や導入プロジェクトを通して得たノウハウなどをご紹介していきます。

IPv6アドレス仕様

 今回は、IPv6のアドレス仕様についてお送りします。まず、アドレス体系やその構造について簡潔にまとめ、次に、ビジネスでIPv6を使用する場合に重要なアドレスの割り振り/割り当てについてご紹介します。

1.IPv6アドレスについて ( アドレス表記 | アドレス種類 ) | 2.IPv6アドレスの割り振り/割り当て方法 ( 割り振り/割り当ての流れ | 割り当てサイズ ) | 3.まとめ

IPv6アドレスについて

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 インターネットで使われる技術の標準化を実施している組織はIETFであり、ここで策定された技術仕様はRFCという文書で公表されます。アドレス体系を含め、IPv6の各種仕様ももちろんここで策定されています。
 RFC(改版)は今も更新されていますが、IETFのIPv6WGのface-to-faceミーティングは2005年11月でクローズしており※1、ようやく標準仕様が固まってきていると言ってよいでしょう。

※1: IETFのWG活動は、通常はメールベースで行われています。世界中に散らばったメンバーが年に数回、実際に集う場(つまりオフ会)をface-to-faceミーティング(または単にIETFミーティング)と呼びます。

 
技術講座バックナンバー
Vol.1 IPv6の概要と特長
Vol.2 IPv6アドレス仕様
Vol.3 IPv6ネットワーク
Vol.4 IPv6マルチキャスト
Vol.5 マルチプレフィックスについて

用語辞典
 

IETF
インターネット技術の標準化を推進する組織で、策定された技術仕様はRFCとして公表。

RFC
事実上インターネット標準を決める技術の仕様・要件に関する文書。

RIR
特定地域内のIPアドレス割り当て業務を行う地域インターネットレジストリ。

 
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アドレス表記

 アドレス表記については、質問箱のQ1-1)で質問をいただいておりますので、ここでもう少し詳しくお話しようと思います。普段使っているIPv4と対比させると分かりやすいかもしれませんね。
 IPv6アドレスの表記方法にはルールがあります。まず、コンピュータが理解する2進数で表します。ここまでは、IPv4アドレスと同じです。IPv4では8ビット分を10進数で表し、8ビットずつ”.(ドット)”で区切ります。一方、IPv6では4ビット分を16進数で表し、さらに16ビットずつ”:(コロン)”で区切ります。

IPv4とIPv6のアドレス表記

ただ、IPv6の場合、アドレスは自動生成されますので、たとえば、一般ユーザの方がWindowsのネットワークの設定画面において、手動でIPv6アドレスを入力するようなことは、ほとんどないと考えていいと思います。誰でも簡単に使えるネットワークを実現するには、手動で設定する必要がないというのは重要なポイントと言えます。

アドレス種類

 IPv6アドレスには次の3種類のアドレス形式が定義されています。これらの複数のアドレスを一つのインターフェースに付けることができ、目的別にアドレスを使用できるようになっています。

a)ユニキャストアドレス(Unicast Address)

ユニキャストアドレス
 ユニキャストアドレスは、単一のインターフェースを示すアドレスであり、1対1の通信において使われます(図2)。たとえば、あるコンピュータがイーサネットケーブルを通じてIPv6ネットワークに接続された場合、そのイーサネット回路には次の順番で自動的にアドレスが設定されます。


1 一番初めに設定されるリンクローカル・ユニキャストアドレスは、単一リンク、つまりルータを越えない範囲で使われ、イーサネット接続の場合必ず設定されます。このアドレスは、上位64ビットのネットワークプレフィックス部が予め固定であるため、ルータとの通信をすぐに行うことができ、通信が確立されます。一般的な用途としては、次のグローバル・ユニキャストアドレスの自動生成が挙げられます。

2 グローバル・ユニキャストアドレスは世界的に一意な(Unicast)アドレスであり、全世界に対して使われます。このアドレスは、ネットワークプレフィックス部をルータより取得し、設定されるため、事前にルータとの通信が確立されていることが必要になります。だからこそ、ルータとの通信を確立する(1)のリンクローカル・ユニキャストアドレスの設定が初めに行われるのです。なお、下位64ビットのインターフェースIDに関しては、どのアドレスもイーサネットの場合はMACアドレスより自動生成されるため、一意になります。
 
質問箱
 

Q:IPv6のIPアドレス表記は、どのようになりますか?

A:IPv4アドレスとIPv6アドレスの比較をして見ましょう...

 
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3 質問箱Q3-6)でも触れていますが、IPv6でもプライベートネットワーク用のアドレスは規定されています。IPv6標準化当初から、組織内の利用を想定して規定されていたサイトローカルアドレスは廃止され、その代替として、「一意なローカルIPv6ユニキャストアドレス(またはグローバルユニーク・ローカルアドレス)」が新しく規定されました(RFC4193、2005年10月)。通常、サイト内部のローカル通信を意識しているため経路集約を考慮しておらず、グローバルインターネット上での到達は保証されません。ローカルアドレスでありながらグローバルで一意、という意味で特殊なアドレスになります。

ポイント

b)マルチキャストアドレス(Multicast Address)

マルチキャストアドレス
 マルチキャストアドレスは、1対多通信のためのアドレスです。IPv4におけるブロードキャストはなくなり、マルチキャストの一部に取り込まれています。また、IPv6では基本仕様でもマルチキャストが多用されており、たとえばイーサネットアドレスの名前解決はマルチキャストを利用して行います。
 マルチキャストアドレスの通信仕組みについては、図5を参照してください。複数のノードをまとめてマルチキャストグループ1として登録し、グループ1に対し一つのマルチキャストアドレスを設定しておけば、そのマルチキャストアドレスを宛先アドレスと指定すると、グループ1に属する全インターフェース(Interface ID:A, C ,D)に配送されます。
 また、マルチキャストの適用をどこまでにするかでスコープ(適用範囲)分類されます。たとえば、ノードローカル・マルチキャストアドレスとは、ノード内で通用するマルチキャストアドレスを指します。

ポイント

c)エニキャストアドレス(Anycast Address)

エニキャストアドレス 
 エニキャストアドレスは、IPv4にはないアドレスタイプであり、一般的用途としてはネットワーク上のサーバ探索の簡略化が挙げられます。このアドレスを宛先アドレスとして指定した場合、マルチキャストと同様に、宛先アドレスを複数設定することができます。そして、エニキャストアドレス行きのパケットは、複数設定された宛先のうち、同一グループ内で最も近いインターフェースのみ(anycast)に届くため、エニキャストアドレスは1対1通信という意味ではユニキャストアドレスと同じと言えます(図4参照)。
 エニキャストアドレスには、特別なアドレス体系は割り当てられていないため、ユニキャストアドレスのために取得されたアドレス空間の一部を利用します。よって、エニキャストアドレスには、ユニキャストアドレスと同様、グローバルとリンクローカルのアドレスがあります。

ポイント

IPv6アドレスの割り振り/割り当て方法

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 IPv4とIPv6ではアドレスの割り振り/割り当て※2方法が大きく変わりました。一般ユーザの方にはあまり関係のない話かもしれませんが、ビジネスでIPv6に絡む方にとっては避けては通れない手続きの一つです。IPv4とIPv6の比較(日本の場合)を簡単にまとめるとこのようになります。

  IPv4 IPv6
IPアドレス割り振り 国別レジストリJPNICが実施 地域レジストリAPNICが実施※3
IPアドレス割り当て 必要なところに必要なだけ※4 固定サイズ(一般的には/48)

※2: 割り振りとは、アドレス空間を再分配用としてインターネットレジストリ(IR)に分配することです。一方、割り当てとは、IRがエンドユーザに対し、割り振られたアドレス空間の一部または全部をエンドユーザのネットワークで利用するために分配することです。
※3: JPNICが申請取次ぎサービスを行います。
※4: 1年後には割り当てたアドレスの50%を使用すること、という条件有り。

割り振り/割り当ての流れ

 IPアドレスの管理をしているレジストリ(管理団体)は、階層構造になっています(図5参照)。一番上位に位置するIANAでは、インターネットに関係するあらゆる“番号”について管理を行っています。IPアドレスに関しては、IANAから世界の地域別に設立されている地域レジストリ(RIR)に分配され、各地域レジストリが各地域におけるIPアドレス番号管理業務を行うという構造になっています。日本はアジアパシフィック地域レジストリAPNICに属しています。
 IPv4では、RIRの下の国別レジストリ(日本の場合はAPNIC下のJPNIC)にIPアドレス管理業務が移管されていましたが、IPv6では、基本的にはISPなどユーザサービスを行う団体に対し、RIR(日本の場合はAPNIC)が直接割り振りを行うことになりました(図5左)。JPNICは、全ての申請に対し、APNICへの申請取次ぎサービスを提供すると発表しています(図5右)。

IPv6アドレス管理の階層構造
出典:JPNIC http://www.nic.ad.jp

 IPv4では、企業もJPNICからIPアドレスを割り当ててもらうことができましたが、IPv6では、RIRが直接割り振りを行うのは原則ISPのみとなっています。よって、RIRに申請するのはISPの役割になり、企業がRIRに申請することはありません。IPv6アドレスの割り振り/割り当てでは、原則としては企業も一般家庭も「エンドユーザ」です。

割り当てサイズ

 割り当ては、IPv4とは異なり固定サイズで割り当てられます。

  • エンドユーザへの割り当ては、非常に規模の大きな申請者を除き、通常は/48(IPアドレス280個)
  • 仕様により唯一のサブネットが必要であることが分かっている場合は、/64(IPアドレス264個)
  • 唯一の機器が接続することが確実に分かっている場合は/128(IPアドレス1個)

つまり、現時点では、通常は一般家庭にも企業にも280個ものIPアドレスが割り当てられているのです。一般的には、エンドユーザは接続先のISPに割り当てを申請すれば、IPアドレスを取得できます。

まとめ

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 IPv6基本仕様の定義書であるRFC2460が公表されたのは1998年12月のことです。その後各種仕様は改訂を重ねており、アドレス体系も当時発表されたものと現在とでは異なる点が多くあります。最近でも、2005年9月に開かれたAPNICの会議にて、固定/48では多すぎるからそれほどアドレス空間が必要でないところには/56で割り当てよう、という「/56提案」が出されました。本稿で書いた内容も現時点でなるべく最新の情報を元に書いたつもりですが、数ヵ月後には古い情報になってしまうかもしれません。最新動向は随時Webでチェックすることをお勧めします。※5
 最後に、IPv6アドレス体系について、「これだけは!」というポイントをまとめておきます。

まとめ

※5: 当ホームページのリンク集をご参照ください。また、IPv6仕様については、IETF IPv6WGホームページまたはRFC、アドレス割り振り/割り当て関連については、APNICの情報をご確認ください。
※6: 2128個/世界人口60億人=56,713,727,820,156,410,577,229,101,238個の概算値。厳密には予約済みで使用できないIPアドレスがあるのでこのとおりではありません。

次回予告

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 IPv6ネットワークは、「パソコンだけでなく、ありとあらゆるものがつながる!」よう、考えられています。ではそれらは実際にはどうやって“つながる”のでしょうか。膨大なアドレス数と多くのアドレス種類が通信にもたらすものとは?
 次回は「IPv6のネットワーク」についてお送りします。

 
質問箱
 

Q:IPv4のプライベートアドレスのように、IPv6 アドレスを使う場合、どの範囲のアドレスを利用したら良いでしょうか?

A:IPv6において、プライベートネットワークにおける利用を想定したアドレスとして考えられていた“サイトローカルアドレス”は...

 
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