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質問箱Q3-6)でも触れていますが、IPv6でもプライベートネットワーク用のアドレスは規定されています。IPv6標準化当初から、組織内の利用を想定して規定されていたサイトローカルアドレスは廃止され、その代替として、「一意なローカルIPv6ユニキャストアドレス(またはグローバルユニーク・ローカルアドレス)」が新しく規定されました(RFC4193、2005年10月)。通常、サイト内部のローカル通信を意識しているため経路集約を考慮しておらず、グローバルインターネット上での到達は保証されません。ローカルアドレスでありながらグローバルで一意、という意味で特殊なアドレスになります。 |

| b)マルチキャストアドレス(Multicast Address) |

マルチキャストアドレスは、1対多通信のためのアドレスです。IPv4におけるブロードキャストはなくなり、マルチキャストの一部に取り込まれています。また、IPv6では基本仕様でもマルチキャストが多用されており、たとえばイーサネットアドレスの名前解決はマルチキャストを利用して行います。
マルチキャストアドレスの通信仕組みについては、図5を参照してください。複数のノードをまとめてマルチキャストグループ1として登録し、グループ1に対し一つのマルチキャストアドレスを設定しておけば、そのマルチキャストアドレスを宛先アドレスと指定すると、グループ1に属する全インターフェース(Interface ID:A, C ,D)に配送されます。
また、マルチキャストの適用をどこまでにするかでスコープ(適用範囲)分類されます。たとえば、ノードローカル・マルチキャストアドレスとは、ノード内で通用するマルチキャストアドレスを指します。

| c)エニキャストアドレス(Anycast Address) |
エニキャストアドレスは、IPv4にはないアドレスタイプであり、一般的用途としてはネットワーク上のサーバ探索の簡略化が挙げられます。このアドレスを宛先アドレスとして指定した場合、マルチキャストと同様に、宛先アドレスを複数設定することができます。そして、エニキャストアドレス行きのパケットは、複数設定された宛先のうち、同一グループ内で最も近いインターフェースのみ(anycast)に届くため、エニキャストアドレスは1対1通信という意味ではユニキャストアドレスと同じと言えます(図4参照)。
エニキャストアドレスには、特別なアドレス体系は割り当てられていないため、ユニキャストアドレスのために取得されたアドレス空間の一部を利用します。よって、エニキャストアドレスには、ユニキャストアドレスと同様、グローバルとリンクローカルのアドレスがあります。

IPv4とIPv6ではアドレスの割り振り/割り当て※2方法が大きく変わりました。一般ユーザの方にはあまり関係のない話かもしれませんが、ビジネスでIPv6に絡む方にとっては避けては通れない手続きの一つです。IPv4とIPv6の比較(日本の場合)を簡単にまとめるとこのようになります。
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IPv4 |
IPv6 |
| IPアドレス割り振り |
国別レジストリJPNICが実施 |
地域レジストリAPNICが実施※3 |
| IPアドレス割り当て |
必要なところに必要なだけ※4 |
固定サイズ(一般的には/48) |
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※2: 割り振りとは、アドレス空間を再分配用としてインターネットレジストリ(IR)に分配することです。一方、割り当てとは、IRがエンドユーザに対し、割り振られたアドレス空間の一部または全部をエンドユーザのネットワークで利用するために分配することです。
※3: JPNICが申請取次ぎサービスを行います。
※4: 1年後には割り当てたアドレスの50%を使用すること、という条件有り。


IPアドレスの管理をしているレジストリ(管理団体)は、階層構造になっています(図5参照)。一番上位に位置するIANAでは、インターネットに関係するあらゆる“番号”について管理を行っています。IPアドレスに関しては、IANAから世界の地域別に設立されている地域レジストリ(RIR)に分配され、各地域レジストリが各地域におけるIPアドレス番号管理業務を行うという構造になっています。日本はアジアパシフィック地域レジストリAPNICに属しています。
IPv4では、RIRの下の国別レジストリ(日本の場合はAPNIC下のJPNIC)にIPアドレス管理業務が移管されていましたが、IPv6では、基本的にはISPなどユーザサービスを行う団体に対し、RIR(日本の場合はAPNIC)が直接割り振りを行うことになりました(図5左)。JPNICは、全ての申請に対し、APNICへの申請取次ぎサービスを提供すると発表しています(図5右)。

出典:JPNIC http://www.nic.ad.jp
IPv4では、企業もJPNICからIPアドレスを割り当ててもらうことができましたが、IPv6では、RIRが直接割り振りを行うのは原則ISPのみとなっています。よって、RIRに申請するのはISPの役割になり、企業がRIRに申請することはありません。IPv6アドレスの割り振り/割り当てでは、原則としては企業も一般家庭も「エンドユーザ」です。


割り当ては、IPv4とは異なり固定サイズで割り当てられます。
- エンドユーザへの割り当ては、非常に規模の大きな申請者を除き、通常は/48(IPアドレス280個)
- 仕様により唯一のサブネットが必要であることが分かっている場合は、/64(IPアドレス264個)
- 唯一の機器が接続することが確実に分かっている場合は/128(IPアドレス1個)
つまり、現時点では、通常は一般家庭にも企業にも280個ものIPアドレスが割り当てられているのです。一般的には、エンドユーザは接続先のISPに割り当てを申請すれば、IPアドレスを取得できます。
IPv6基本仕様の定義書であるRFC2460が公表されたのは1998年12月のことです。その後各種仕様は改訂を重ねており、アドレス体系も当時発表されたものと現在とでは異なる点が多くあります。最近でも、2005年9月に開かれたAPNICの会議にて、固定/48では多すぎるからそれほどアドレス空間が必要でないところには/56で割り当てよう、という「/56提案」が出されました。本稿で書いた内容も現時点でなるべく最新の情報を元に書いたつもりですが、数ヵ月後には古い情報になってしまうかもしれません。最新動向は随時Webでチェックすることをお勧めします。※5
最後に、IPv6アドレス体系について、「これだけは!」というポイントをまとめておきます。

※5: 当ホームページのリンク集をご参照ください。また、IPv6仕様については、IETF IPv6WGホームページまたはRFC、アドレス割り振り/割り当て関連については、APNICの情報をご確認ください。
※6: 2128個/世界人口60億人=56,713,727,820,156,410,577,229,101,238個の概算値。厳密には予約済みで使用できないIPアドレスがあるのでこのとおりではありません。
IPv6ネットワークは、「パソコンだけでなく、ありとあらゆるものがつながる!」よう、考えられています。ではそれらは実際にはどうやって“つながる”のでしょうか。膨大なアドレス数と多くのアドレス種類が通信にもたらすものとは?
次回は「IPv6のネットワーク」についてお送りします。 |